2013年8月18日日曜日

どおくまん 特別エッセー

太地大介の思い出 その6

自転車の話-2

キキーーガシャン 

『うっ 弟(太地大介)が交通事故か』 私は急いで自転車をこいだ。
路地の角を曲がると、街灯の薄明かりの下に、バイクと自転車が倒れているのが見えた。

バイクの方は、フルフェイスのヘルメットをかぶった、派手な皮のライダースタイルの大男の、ヤンキー風アンちゃん(若者)だった。倒れかけのバイクを持ち上げながら

『いてて コラー ぶっとばすぞ バカヤロー』と叫んでいた。

弟はというと、自転車が半倒しになっており、黙ってゆっくり自転車を持って、起き上がるところだった。

弟に『どうした』と聞くと、バイクと出会い頭に軽く接触したという。
両者共、どうやら大したケガはしていないようだ。

どこ見て走っとんのや!マヌケーとバイクの男が私らにひつこく言うので、『なに偉そうに言うとんじゃドアホ お前も悪いんやろが!』
私のとっさに、ガラの悪い大阪弁が飛び出してしまった。

『な、なんじゃあオンドラ やる気かァ!!』
一気にヒートアップした相手は、興奮気味に言い返すと、腰の辺りをまさぐって何かを取り出した。

よく見ると、銀色に光るクサリを持っていた。太いケンカ用のチェーンだ。

それを見た弟はゆっくり自転車を降りた。

相手に近づいてゆく。


...つづく

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