太地大介の思い出 その6
■自転車の話-2
キキーーガシャン
『うっ 弟(太地大介)が交通事故か』 私は急いで自転車をこいだ。
路地の角を曲がると、街灯の薄明かりの下に、バイクと自転車が倒れているのが見えた。
バイクの方は、フルフェイスのヘルメットをかぶった、派手な皮のライダースタイルの大男の、ヤンキー風アンちゃん(若者)だった。倒れかけのバイクを持ち上げながら
『いてて コラー ぶっとばすぞ バカヤロー』と叫んでいた。
弟はというと、自転車が半倒しになっており、黙ってゆっくり自転車を持って、起き上がるところだった。
弟に『どうした?』と聞くと、バイクと出会い頭に軽く接触したという。
両者共、どうやら大したケガはしていないようだ。
『どこ見て走っとんのや!マヌケー』とバイクの男が私らにひつこく言うので、『なに偉そうに言うとんじゃドアホ お前も悪いんやろが!』
私のとっさに、ガラの悪い大阪弁が飛び出してしまった。
『な、なんじゃあオンドラ やる気かァ!!』
一気にヒートアップした相手は、興奮気味に言い返すと、腰の辺りをまさぐって何かを取り出した。
よく見ると、銀色に光るクサリを持っていた。太いケンカ用のチェーンだ。
それを見た弟はゆっくり自転車を降りた。
相手に近づいてゆく。
...つづく
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