太地大介の思い出 その8
何秒かにらみ合いが続く……。
すると相手は突然バイクを反転させ
『おぼえとれーっ』と捨て台詞をして、走り去っていった。
フーと2人は大きく息を吸った。
『フン 何が覚えとれじゃドアホめ』と私は遠ざかる相手に吐き捨てる様に言った。
私 『あいつ明日、仲間連れて、待ち伏せしよるかもしれん。念の為、当分時間と道変えるで』
弟 『わかった』と短く答える。
帰り道、私達は並んでゆっくり自転車を走らせる。
月明かりが道路に2人の影をつくった。
私が先に笑い出した。
私は何だかおかしかったのだ。
あのヤンキーがチェーンを引きずりながら、あたふたと逃げて行く様を思い出したのだ。
横を見ると弟も笑っていた。
2人は自転車に乗って、実家に帰る踏切を、笑いながら渡った。
この時月刊少年チャンピオンで10年以上続く 暴力大将 の連載が始まったばかりであった。
...おわり
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